人前に出て応援される人や物、集まりは好意の海を泳いでいる船のようだな、と思った。
始まりの大地から足を踏み出し、大陸または島から目的地の次なる場所へ。各人の起こす緩やかだったりときに激しい波によって押し進められているようだな、と。
海の深さには関係なく、未熟な船でも波と風が目的に沿って流れているのであれば、望むどこまでも行くような、そんな気がするように見られる。
時に人並み外れた電動機を自他関わらず積んで渡っていく姿や天命の与えたような風に乗っていく姿も見受けられるが、おそらく稀だろう。ほとんどは波の影響を受けて走っていく。
故障やトラブル、立ちすぎた波に飲まれなければ、安定はせずとも目的地へは向かっていける。
陽の照りを反射させて焼けるほどの眩しく輝きを生むのも、手がかりの少ない夜の便りにすべき月の明るさを高めるのも、嵐を起こすのも、また海の仕業だろう。
海は視覚や即時的な印象で海を作り、強弱に関わらず波を起こしながら知識や経験(強くは思い出)、それにかかった時間と経緯とともに土を掘り返して海はその深さを増していく。
光に照らされ水面を美しく映やす海も、澄んだ水質を持っている海も、底に近づけば届かぬ光を減らして闇を重ねて塗り潰されていく。
深ければ深いほど、底は海上からは見づらく、その海の底に向かうほどに増す暗さは、海自身でさえもおそらく明確に覚えが無いだろう。